工学系

ある技術系出身の50代会社員が母校の工学系大学出身の新入社員に聞いた。

「就職活動大変だった?」

彼らの答えは、否、だった。

文系の就職と理系の就職、特に工学系は大きく違う。就職だけでなくスクールライフや研究さえも違う。当たり前のことだけれど、実は重要なことだ。

かつて「産学連携」といえば悪の権化であった。大学が企業の道具になることを危惧した学生・研究者はたくさんいた。一部の政治志向を持つ文系学生が聞いたら驚く話だが工学系の学生にとって「産学連携」は日常だ。

工学とは、簡単に言ってしまえば役に立つものをつくる学問だ。企業が商品を作り消費者が買う社会ではものをつくるのは企業だ。否応なしに工学系学部・研究科は企業社会に組み込まれる。学生も研究者も。

だから、工学系の学生は企業的なものの見方をするし、企業の中を見る機会も多い。良くも悪くも大学というモラトリアムの中で企業と距離を置いた生活をしている文系学生とは大違いだ。

工業系の場合、就職に強い大学の院に進学すれば就職に困ることはあまりない。文系学生の苦労はわからないだろう。

厳密に言うと工学とは違うのだが、ノーベル賞は誰かが取ると他の同じような研究をしていた人はもらうチャンスをなくす。競争社会だといっていい。ある工学系院生は言った。

「研究室の同期は仲間かもしれないけれどライバル」

工業系の学生と接していると経済学系の学生と同じくらい冷たさも感じるけれど悪い奴らではないよね、たぶん